「お客様の悩みにぴったりな商品なのになかなか販売につながらない」「商品の良さを伝えたいけど、押し売りみたいになってしまう」「商品の話を聞いてもらえない」ドラッグストアで働いていると、こんな悩みはありませんか?
Amazon薬局をはじめとするオンライン薬局サービスが急速に普及しています。スマートフォンで処方箋を送れば、薬が自宅に届く便利さは、忙しい現代人にとって魅力的です。しかし利便性が高まる一方で、街の薬局が提供する「人と人が向き合う価値」が改めて注目されています。デジタルでは代替できない、リアル店舗ならではの強みとはなんでしょうか。
オンライン薬局とは、インターネットを通じて処方箋を送信し、薬を自宅まで配送してもらえるサービスです。代表的なものにAmazon薬局があり、アプリで処方箋を撮影・送信するだけで、最短当日に薬が届きます。薬剤師によるオンライン服薬指導も受けられるため、外出が難しい方や仕事で忙しい方には大変便利なサービスといえるでしょう。厚生労働省の調査によれば、2023年時点でオンライン服薬指導を実施する薬局は全国で約2万店舗を超え、今後も増加が見込まれています。
ここで考えるべきはDX化を「便利vs温かみ」という二項対立で捉えることの危うさです。本当に必要なのは「デジタルで効率化できる部分」と「人間にしかできない部分」を見極め、それぞれを最大化することではないでしょうか。実際、日本薬剤師会の調査では、70代以上の患者の約8割が「薬剤師の顔を見て説明を聞きたい」と回答しています。一方で、20〜40代の働き世代では6割が「状況に応じてオンラインも活用したい」と答えており、世代によってニーズが異なることも分かっています。つまり、リアル店舗の価値を理解した上で、適材適所でサービスを選べる環境が理想なのです。
筆者の考えるリアル店舗だからこそ提供できる価値は以下の3つです。
やはり薬の説明は対面の方が安心できます。薬の服用には不安がつきものです。特に高齢者や初めて飲む薬に不安を感じている方にとって、薬剤師の表情や声のトーン、身振り手振りを交えた説明は、言葉以上の情報を伝えます。「この人が言うなら大丈夫」という信頼感は、対面でなければ生まれにくいものです。
薬剤師は処方箋だけでなく、患者さんの「様子」も読み取っています。リアル店舗では、処方箋を受け取った瞬間からさまざまな情報をキャッチできます。顔色は良いか、歩き方に異変はないか、話し方に変化はないか。こうした観察から、処方内容だけではわからない患者さんの状態を把握できるのです。例えば、糖尿病の薬を受け取りに来た患者さんの様子がいつもと違えば、「最近、低血糖の症状はありませんか?」と声をかけることができます。患者さん自身が気づいていない体調変化を、プロの目が捉えることもあります。また、必要であれば薬剤師は病院に疑義照会をしているところを見たことがあります。その際、患者さんには不要な薬だったようで「気づいてくれてありがとう」と患者さんが感謝していました。オンラインでも問診票などで確認はできますが、微妙な変化や言葉にしにくい不調は、対面でなければ気付けないことが多いのです。薬剤師の「観察力」は、リアル店舗の大きな武器といえるでしょう。
街の薬局は、地域の健康ステーションとしての役割を担っています。「かかりつけ薬局」として長く通ってもらうことで、その人の健康歴を把握し、より適切なアドバイスができるようになります。以前に副作用があった薬を記録しておき、別の医療機関を受診した際に医師に伝えることもできます。こうした継続的な関係性は、信頼の積み重ねによって生まれます。また、健康相談や栄養指導、お薬手帳の管理サポート、在宅訪問など、薬を渡すだけでないさまざまなサービスも提供できます。地域のイベントで健康測定会を開いたり、学校で薬物乱用防止の講演をしたりすることが可能です。物理的に存在する店舗だからこそ、地域社会とのつながりを深められるのです。
もちろん、オンライン薬局のメリットを否定するものではありません。仕事で忙しい人、移動が困難な人、症状が安定している慢性疾患の方などにとって、オンライン薬局は非常に便利なサービスです。重要なのは、デジタルとリアルを対立させるのではなく、それぞれの強みを活かして使い分けることです。たとえば、初回の服薬指導や薬の変更時はリアル店舗で丁寧に説明を受け、症状が安定してきたら、オンラインで受け取るという使い分けもできます。また、リアル店舗でもオンライン予約システムを導入して待ち時間を減らすなど、DX化のメリットを取れることも大切です。
今後、デジタルの進化によって、さらに便利なサービスが登場するでしょう。しかし、どれほどデジタルが進化しても、医療の本質は「人と人とのつながり」にあります。病気や薬への不安を抱える人にとって、信頼できる医療者が目の前にいるという安心感は、何にも代え難いものです。患者さんひとりひとりに寄り添い、健康を支えるパートナーとして、これからも地域に根ざした活動を続けていくことが求められています。これは薬剤師だけでなく、ドラッグストアの登録販売者にも言えることです。一般用医薬品を販売する立場であっても、お客様の表情や様子から健康状態を察知し、適切なアドバイスをする役割は変わりません。リアル店舗ならではの価値を大切にしながら、デジタルの力も活用する。この両立こそが、これからの薬局に求められる姿なのです。
リアル店舗の薬局には「対面での安心感」「その場での体調観察」「地域密着サポート」とおう3つの独自価値があります。これらはデジタルでは代替できない、人間だからこそ提供できるものです。オンライン薬局の普及は避けられない流れですが、それを脅威と捉えるのではなく、デジタルとリアルで役割分担し、患者さんにとって最適な選択肢を提供することが理想的です。医療の本質である「人と人とのつながり」を大切にしながら、デジタルの力も取り入れていく。これが、薬局DX時代を生き抜くための鍵となるでしょう。
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