「かゆいからなんとかしてほしい」なんて聞かれたことはありませんか?「かゆい」という訴えは一見シンプルに聞こえますが、実は原因も症状もさまざまです。よく話を聞かずにおすすめすると、間違った提案になってしまうことがあります。たとえば汗疹(あせも)と汗かぶれ。「どちらも同じでしょ?」と思っていませんか? でも実は原因もケア方法も異なります。おすすめする薬は似ていても、お客様に伝えるべきことは異なります。この記事では、筆者が実際に接客してきたなかで、特に相談が多かった皮膚症状を紹介します。最後まで読んで、日々の接客に役立ててくださいね。
汗疹(あせも)は一度に大量の汗をかくことで起こる炎症です。額・頭・首・ワキなど、汗をかきやすい部位に小さなブツブツができ、赤みやかゆみがでます。掻きこわしてしまうと二次感染につながることもあるので注意が必要です。
汗疹(あせも)の原因は汗の出口(汗口)が大量の汗でふさがれてしまうことです。汗口がふさがると、肌の内部で炎症が起きてしまいます。汗腺は全身にあるので、全身どこにでもできる可能性があります。
汗疹(あせも)のほとんどは、掻きこわさずにいれば自然と治ります。とはいえ、かゆみが強い場合は掻いてしまいがちなので、外用薬をすすめて二次感染を防ぐことが大切です。また「汗をかきすぎないようにしてください」と伝えましょう。このとき「汗をかかないように」と言わないよう注意が必要です。「汗をかくこと自体は必要なこと。こまめに拭いて、汗をためすぎないことが大切です」こう伝えると、お客様も安心されるでしょう。
汗かぶれは汗に含まれる塩分やアンモニア分が肌を刺激することで起こる炎症、いわゆる「接触性皮膚炎」の一種です。赤みや激しいかゆみが出るほか、チクチク・ピリピリとした痛みを伴うこともあります。皮膚の薄い首周りに起こりやすく、汗をかきやすい背中や、下着が擦れるお腹・腰まわりにもでやすいのが特徴です。
汗かぶれの主な原因は、皮膚バリア機能の低下です。汗が気になる季節になると、ベタつきやニオイが気になってつい洗浄力の強いボディソープを使ったり、1日に何度もシャワーを浴びたりしていませんか?実はこれがNGなんです。お肌には最低限の皮脂が必要で、洗いすぎると必要な皮脂まで落としてしまい、乾燥→皮膚バリア機能低下という悪循環に陥ります。皮膚バリア機能が低下すると、汗の刺激をもろに受けてしまうわけです。
指先・手のひら・手の甲に赤みのある腫れ・かゆみ・ひび割れが出る症状です。最初は指先から発症し、乾燥して皮膚が剥がれ、やがて硬くなってひび割れていきます。ひどくなると指紋がなくなったり、手のひら全体に広がったりすることもあります。冬場に相談が増える印象です。
手湿疹の多くは刺激性接触皮膚炎が原因です。洗剤・化粧品・化学物質・植物・摩擦など、さまざまな刺激に長い時間さらされることで症状が現れます。手は日常的に何かに触れている部位なので、刺激を受けやすく、なかなか治りにくいのが難しいところです。
乾燥でカサカサしているならまず保湿が基本です。皮膚バリア機能が低下しているので、治るまではこまめな保湿を伝えましょう。治ったあとも保湿を習慣にすると再発防止にもなります。かゆみが強い場合はステロイド外用薬も一緒にすすめましょう。剤形はクリームでも軟膏でも大きな差はありませんが、保護効果が高く刺激の少ない軟膏が手湿疹には使いやすいのでおすすめです。
乾燥が進んで肌表面に亀裂が入った状態を「ひび割れ」、それがさらに悪化して炎症を起こし赤くなった状態を「あかぎれ」といいます。つまり、あかぎれはひび割れがひどくなった状態です。手湿疹と同様、冬に相談が多い症状のひとつです。
気温が下がると汗や皮脂の分泌が少なくなり、肌が乾燥しやすくなります。水分不足になった皮膚は弾力を失い、ちょっとした刺激で亀裂が入りやすくなってしまいます。
あかぎれも基本は保湿です。ただ、正直すぐには治りません。「継続することが大切」とはっきり伝えておきましょう。特に注意したいのが男性のお客様。保湿に慣れていない方が多く、少しよくなると途中でやめてしまうことがあります。「よくなってからも続けてくださいね」と念押しするひと言が大切です。症状がひどい場合はステロイド外用薬を、患部を保護したい場合はピンポイントで貼れる絆創膏も一緒にすすめてみましょう。「絆創膏がすぐ剥がれる」と困っている方には、液体絆創膏をおすすめしてはいかがでしょうか。
少しセンシティブなお話ですが、デリケートゾーンのかゆみの相談も意外と多いです。聞きにくいとは思いますが、「どの部分がかゆいか」確認するようにしましょう。理由は女性の場合は膣内のかゆみである可能性があるからです。膣内のかゆみはカンジダ膣炎の場合があり、一般的なかゆみ止めは使えません。「ネットで調べた」と一般のかゆみ止めを持ってくるお客様もたまにいますが、膣内への使用は控えてください。膣内には膣内専用のお薬があるので、薬剤師への相談や、婦人科の受診をご案内しましょう。男性の場合も、陰部の粘膜部分であれば受診をすすめるのが安全です。
今回紹介したのは、よく相談される皮膚症状の一部です。
汗疹(あせも):汗口の詰まりが原因→汗をかきすぎないよう伝えよう
汗かぶれ:バリア機能の低下が原因→保湿の提案も忘れずに
手湿疹:刺激性接触皮膚炎が多い→こまめな保湿が大切
あかぎれ:低温と乾燥が原因→継続ケアの大切さを伝えよう
「かゆい」のひと言の裏には、さまざまな背景があります。まずはお客様の話をしっかり聞いて、かゆみを深掘りすること。そのうえで薬の提案だけでなく、ケア方法まで伝えられると、信頼される登録販売者にまた一歩近づけるはずです。ぜひ明日の接客から試してみてください。
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